埼玉県所沢市を中心とする三富地区は、江戸時代の川越藩主・柳沢吉保によって開墾された「三富新田」で有名です。その三富地区の下富に位置する私たちのフィールドは、コナラを中心とした雑木林として、そして用途からいえば緑肥や堆肥、草木灰などの肥料として利用する農用林として江戸時代から連綿と使われてきました。
しかしご多聞に漏れず、昭和40年代ごろからの化石燃料革命、化学肥料革命などによって利用されなくなり放置されて、荒れた暗い森※になってきました。いわゆる里山の崩壊として全国的に問題になっているのはご承知の通りです。
その暗くなった、足を踏み入れることもできない森(混み過ぎた、常緑広葉樹の低木の侵入、枯損木も混じった森)を、除伐、枯損木処理、コナラ中心の苗木植林、下刈りなどによって、本来の里山雑木林に再生しています。
いうまでもなくその再生の目的は、人の立ち入りを妨げない、明るく見通しの良い安全な森、崩壊によって絶滅種が多くなった里山生態系の回復―生物多様性の回復などです。
すでに、キンラン、ギンラン、リンドウなどの植物、蝶などの昆虫、野鳥も多く帰ってきています。
そして将来的には、再生した森ができるだけあまり手を入れなくても雑木林として自然更新して行けるよう見守っていきたいと思っています。
※人の手が入れられて出来上がった森は、放置するとその地特有の極相植生(関東地方でいえば、カシ、シイなどの常緑広葉樹林)に還っていきます(遷移といいます)。 |
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